ドラッカー教授の残した宿題に応える戦略思考メソッド
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戦略分析・立案訓練ステップ

ウェブ・セミナーサイトマップにある準備パート2の正規分布と成長曲線の応用は必ず読んでください。
回帰直線9点一筆書きは説明を読んで、意味を十分理解してください。
アメリカの経済復興シナリオと戦略予測(日本語)にアクセスしてください。
予測シナリオが訓練の材料です。
英文記事を日本語で要約します。
リンク記事を読んで考えてください。その情報(ドット)が予想(回帰直線)を裏付けるものか、無関係か?あるいは予想そのものがは誤りか?
戦略分析・立案は不確実性に対する決断(度胸)の集積結果です。ブログ・コメント欄に反論、異論を書くのも訓練になると思います。

 Sec 2-2-5 コペンハーゲン総括

コペンハーゲンでのオバマ大統領の評価は相当厳しいものがあります。私は、絶対に主導権を取ると断言してきました。
主導権は確かに取りました.。しかし、非難ごうごうです。また、シナリオ予測が違えば、こんなに物の見方が変るものかと驚く興味深いものもあります。
戦略分析、立案という観点からコペンハーゲンを総括します。今回の目的です。そして、正月の宿題です。日本に戦略はあったのか?これからどうすべきなのか?
(2009.12.26 Up)
まず、オバマ政権の経済復興シナリオ予測を復習します。

1.アメリカが炭酸ガス排出削減で世界を主導する。
2.自動車産業をはじめとする製造業の復活をはかる。
3.中国に対して硬軟取り混ぜた戦略を採ってくる。

アメリカの経済復興戦略は同時に中国経済の拡大防止戦略である。

コペンハーゲンに対する具体的な戦略として、次の二つを予測した。

1.EU主導のIPCCからアメリカ主導を狙う
2.決定的な削減を約しない

削減枠設定に対するアメリカ国内の抵抗を抑えるためと同時に中国の排出量抑制によって経済成長にブレーキを掛ける手段が、A)アメリカの大気汚染防止法(Clean Air Act)に基づいてアメリカ環境庁(US EPA)が温室効果ガスを人の健康および環境被害をもたらす(endangering findings)汚染物質と認定して排出基準値を定めることとB)NASAが実用化した衛星を用いて監視する炭酸ガス排出源モニタリング技術である。

さらに、オバマ訪中による米中共同声明は、中国の弱みを突いた何かの結果ではないかと予測しました。まったくの憶測ですが、NASAの衛星技術に関連して中国から飛散したススが北極氷原を縮小させたという証拠でも暗示したのかと考えた。

決定的な削減を約しないという点では、11月14日のシンガポール会議の記事、および12月4日のオバマ大統領のコペンハーゲン出席日程変更に関するホワイトハウスの声明から明らかでした。

前回、オバマ大統領に対する批判が大変大きいという記事や読者コメントを紹介しました。
批判は、削減枠を定めなかった、オバマ大統領が下院で定めた17%よりもっと大きな削減を表明するという期待を裏切ったというものですが、そんなことははじめから分かっていることで批判する方もする方と思いますが、皆さんのお考えはいかがですか?

ただ、中国とのバトルは激しいものでした。私は米中共同声明で大方の話は決着したと思ったものですから、一体何があったのだろうと思いました。はじめは、あんな屈辱的な共同声明を飲まされた悔しさが爆発したのかと思ったのですが、どうもそうではないということに気づきました。

そのヒントは、オバマ大統領がコペンハーゲンを離れる直前の小さな記者会見をお読みいただいたと思いますが、そこにあるように思います。いずれも、私の予測と関係あるのですが・・・。
前回紹介した記事のうちの”Obama’s Remarks on the Climate Agreement”

最初は、次の文章です。

But I want to be very clear that ultimately this issue is going to be dictated by the science,and the science indicates that we're going to have to take more aggressive steps in the future.Our hope is that by investing in clean energy, in research, in development, in innovation, thatin the same way that the Clean Air Act ended up spurring all kinds of innovations that solvedthe acid rain problem at a much cheaper and much more rapid pace than we expected, thatby beginning to make progress and getting the wheels of innovation moving, that we are in factgoing to be in a position to solve this problem.
削減問題というのは結局科学的に対処されるべきものだ。・・・・・・酸性雨問題が低費用で想像よりはるかに早く解決に至ったのは、大気汚染法があらゆる技術革新を促進させたからで、それと同じように・・・
炭酸ガス排出削減問題で、大気汚染法がここまではっきりオバマ大統領が口にしたのは私の知る限りこれが最初です。そして、

The problem actually is not going to be verification in the sense that this internationalconsultation and analysis mechanism will actually tell us a lot of what we need to know. Andthe truth is that we can actually monitor a lot of what takes place through satellite imageryand so forth. So I think we're going to have a pretty good sense of what countries are doing.
国際的な助言や分析のメカニズムで知らなければならないことが分かるという点で言えば、実は証明ということが問題なのではない。衛星からの映像などによって実際に起こっていることをモニターできるというのは事実です。それぞれの国が何をしているか、その気になれば分かるのです。

これをはっきり口にしたのもこれが初めてだと思います。
私は、ススの問題と言っていました。中国を脅したというとおかしな言い方ですが、使ったのはやっぱり衛星モニターかという確信を強くしました。
専門家はみんなこの技術のことは知っているはずなのだから、さっさと使えば良いじゃないかと思いますが、脅かす材料なら小出しにする方が有利なのでしょうね、きっと。
それでは、あのアメリカと中国、インド、ブラジル、南アフリカの大騒ぎは一体何だったのだろうと疑問が湧きます。何だと思いますか?

私の推測は総括ディスカッションで述べたいと思いますが、その前に二つの記事をお読みください。ひとつはどちらかと言うと評価するというもの。タイムズの論説です。もうひとつは切りまくりの批判。有名なNaomi Kleinさんです。イギリスGuardianの記事です。


December 20, 2009
Copenhagen, and Beyond

(全訳)
コペンハーゲンの気候変動交渉は成功でもなければ完全な崩壊でもない結果となった。過去2年間の事前準備にもかかわらずめったにない世界中の指導者が集まった会議でも温室効果ガス削減のための野心的な排出量を縛る計画はできなかった。
代わりに採択されたのは、少なくとも原則としてではあるが、温室効果ガス排出の削減、各国の排出量の検証の方法、熱帯雨林の保護、気候変動の影響が大きい国の保護支援、そしてその費用の共同分担を定める中間的な協定という緩やかなものだった。

ワシントンでもどこの国でも難しい仕事が始まっただけに過ぎない。しかし、富裕国と貧困国の課題と違いの複雑さを考えれば、コペンハーゲンの結果は取るに足らないものとは言えない。ここまできたのはオバマ大統領の功績と言って良い。大統領が到着した時点では、13時間にも及ぶノン・ストップの会議は中国の厳しい態度でほとんど崩壊寸前であった。時間のない中で、中国、インド、ブラジル、南アフリカの協力を得てということになるが、大統領は無理やり193ヶ国のうち僅かな国々をのぞいて合意するものを作り上げたのだ。

オバマ大統領のことは別にして、この取り決めには二つの鍵があった。ひとつは1000億ドルの後進国支援である。より汚染の少ないエネルギーへの転換と温暖化による干ばつなどの被害対策の資金であるが、先進国からのこの支援が、会議から退場すると脅かしていた貧困国の態度を一気に和らげる効果をもたらした。

もうひとつは、すべての国が同意するなら削減検証制度に同意して記録簿のチェックを受けても良いと中国が言い出したことである。勿論、この制度の詳細は今後検討するという条件の上でのことだが。
透明性は、アメリカ議会が要求する課題であり、オバマ大統領は金曜日の最初のスピーチで中国がその保証を与えない限り取り決めに同意しないと明言したのだ。

大統領にも他国の首脳にも、いわゆるコペンハーゲン協定に取り組む大変な仕事が待ち受けている。
2020年までに17%削減、そして1000億ドルのうちの負担金の約束を果たすために上院のキャップアンドトレード法案を通さなければならない。大変な仕事である。
一方、疲れ果ててくたくたになっていても他国の交渉担当者達からの催促は休みないはずである。
この交渉は無秩序で意見統一など不可能なので、国連は機能できなくなっている。今後はビッグプレーヤーの小さな会議で物事が進められるのではないかと考えている人は多い。
この指摘には真実もある。しかし、コペンハーゲンを原則としてみるなら現時点ではどんなやり方があるのか不透明である。検証制度ひとつ取っても、詳細な全体合意がなければ前に進めない状態である。また、各国それぞれが独自に気候変動対策を行う責任を縛る何かのルールも必要である。
富裕国からも貧困国からも約束事の話し合いのテーブルだけはできたが、大気の炭酸ガス濃度が危険域以下に抑えるという点では未だにどこに行くのか分からない状況である。

当面、この先がどうなるか興味深く見ようではないか。
中国もやっと過去にはない形で気候変動に取り組む姿勢を示している。排出削減数値目標も検証制度も受け入れる準備がある。
アメリカはこの国際取り組み課題に戻ってきた。台無しにするだけの過去8年間から、その役割を果たすことを使命と考えている大統領を先頭にアメリカがリードしなければならないのだ。


この論説には81のコメントがありますが、批判が圧倒的です。賛同の多い順に読めますので、英作文の参考にしてください。


December 21, 2009
Copenhagen's failure belongs to Obama

(全訳)
コペンハーゲンはみんなの失敗などではない。人間が合意することが難しいからでも、本来的に自己破壊的だからでもない。まして、中国のせいでもないし哀れな国連のせいでもない。

さまざまな非難が駆け巡っているが、的外れだ。
ゲームを変えることができる唯一の力を持った国があるのに、その力を使わなかった。オバマがアメリカ経済を脱化石燃料にする力強い決意さえ持ってコペンハーゲンに来ていれば、他の炭酸ガス排出主要国はみんなもうひと踏ん張りできたはずだ。EU、日本、中国、インドはみな、アメリカさえ主導すれば排出削減量を上げるつもりだったではないか。主導どころか、オバマは情けないほどの低い目標をもってきたものだから、他の大排出国がぐちゃぐちゃ言う引き金になった。
(取り決め?結局できたものは最大排出国間の小汚い協定以上の何物でもないではないか。取り決め?何が取り決めだ。)

オバマが約束できなかった理由など100も承知だ。上院の問題、物事を可能にする技術などなど。しかし、そんな問題よりも如何にオバマの権力がちっぽけなものかということに尽きる。ルーズベルト以来、アメリカを地球上の生命を脅かさない何かに転換させるこれほどのチャンスを持った大統領などいないのだ。オバマは、チャンスのひとつすらものにするのを拒んだのだ。その最たる三つを見よう。

逃したチャンス1:緊急経済対策
就任したとき、経済を刺激するためにお金を使うどんな計画でも作るチャンスがあった。グリーン・ニューディールだ。公共輸送システムとかハイテク電力網だとか、勢いでできたはずなのだ。しかし、やらなかった。代わりにやったことは共和党に擦り寄って緊急経済対策をケチり、大半を減税に充ててしまった。たしかに、約束らしきことには手をつけたが、公共輸送はいつの間にか消えてしまった。一方、車文化を永続させるハイウェイ建設ばかりだ。

逃したチャンス2:自動車産業救済
車文化。オバマが就任した途端に、ビッグ3のうちの2社担当になってしまった。炭酸ガスの排出には彼ら全部が関係しているのにだ。気候変動と戦うはずの洞察力に優れたリーダーが、それらの工場をグリーン経済のインフラにするという理由で傾いた産業を立て直すために権力を使ってしまったのだ。その結果、転換すべき産業構造をそのままにする非理想ちっぽけ大統領に自らを貶めてしまった。

逃したチャンス 3:銀行救済
記憶するに値するできごと。国有化されないために三拝九拝の大銀行と共にオバマは就任してしまった。もう一度言う。彼が、歴史によって与えられたその権力を大胆に使ったなら、古くなった工場の設備投資やグリーン・インフラ工場に資金を貸し付けるよう銀行に命令できたはずだ。代わりにやったことは、政府は銀行にどうこうせよとは言わないと宣言してしまった。環境ビジネスはどこも以前にも増してお金を借りるのが難しくなった。

この巨大な経済の三つのエンジンを考えてごらん。銀行、自動車、経済対策法案。全部、環境に結びつけることはできたはずだ。そうしていれば、補足的なエネルギー法案は一貫した計画の中で処理され得る。コペンハーゲンまでに法案ができたかどうかに関わらず、アメリカは劇的に排出を削減する過程にあったはずなのだ。そうなら、世界中を落胆させる代わりに、元気付けることができたのだ。
世代に一度きりしかないチャンスをこれほどまでに無駄にしたアメリカ大統領はいない。他の誰のせいでもない。コペンハーゲンを失敗させたのはオバマだ。


これは、また何とも激しいオバマ批判です。この人は人気のある人らしくて、読者から182のコメントが寄せられています。
三つのチャンス喪失と言うNaomiさんの指摘は全部、私のシナリオ予測を裏側から見ているものです。大変面白く思いました。
Naomiさんは、私の予測とは別のオバマ政権のシナリオに期待を掛けていたように思います。この点も総括ディスカッションで検討します。

前回、オバマ大統領の行動がコメディみたいだったという記事を紹介しました。
"Obama raced clock, chaos, comedy for climate deal"

この記事ではちょっと分かりにくかった部分を取材した記者がいます。この方のレポートをお読みください。国の首脳同士の激しいやり取りや即興的な行動を知る貴重なものだと思います。
Suzanne Goldenbergという方がオバマ大統領と中国のWen首相を書いているところです。
(概要)
オバマ大統領がウェン首相に一対一で会おうとしても取り合ってくれなかったらしいのですが、それは、本会議の席上で、オバマ大統領が、「中国の責任能力は内容の伴わない言葉の羅列に過ぎない」言ったことが原因のようです。ウェン首相はさっさと会議場から出てホテルに戻ったのです。ホワイトハウスの随行員が、その後会いたいと連絡すると、鼻であしらうように協定書の担当官を代わりに送って、今度はオバマ大統領が激怒したということです。

そして、例の中国、インド、ブラジル首脳がいる部屋への突然の訪問ですが、ホワイトハウス随行員は、中国だけで内輪の会議をしていると思っていたらしいのです。ところが、そこに他の国の首脳もいると分かって、「これは、チャンスだ。行くよ。」と言って部屋を訪れたということのようです。

何か子供の喧嘩を見ているようですが、国と国といえども基本は個人と個人の闘いということが分かると思います。
そして、ホワイトハウスは、「アフリカがごちゃごちゃ言っているけど大した問題じゃない。とにかく中国をものにした。俺たちは勝った!」
ウェン首相は、炭酸ガス排出を低くするとは言ったけれども中国経済の成長を止めることはないから大成功と思っている。

どっちも自分が勝ったと思ってめでたしめでたしですが、一体、肝心の大気の炭酸ガス濃度はどうなっちゃうのですか〜?

総括ディスカッション

予測シナリオとの関係

オバマ大統領はなぜバタバタしたのか?
オバマ大統領の出席は当初ノーベル賞受賞式に合わせていましたが、急遽変更になったことはご存知の通りです。なぜ、日程を変えたのか、さらにどうしてここまで汗だくになって喧嘩腰で中国とのネゴをしなければならなかったのか疑問に思っていました。
訪中時に今回のコペンハーゲンの話は済んだはずではなかったのか?

私の推測するバタバタの原因は以下の如くです。私の推測が合っているかどうかは分かりませんが、物事には必ず底辺に流れるストーリーがあります。戦略分析や立案、シナリオ作りにはストーリーが必要です。その意味で、あなた自身も推測してください。大事な訓練です。

1.米中共同声明を中国に飲ませたアメリカのカードは、NASAの衛星による炭酸ガス排出量,排出源モニター技術であった。
2.中国は、インドやブラジルと共に衛星データが国の統治権を犯すとして使用禁止を合意条件として明記させる動きに出た。
3.その動きを察知したアメリカは大統領の日程を変更し、中国との交渉と中国連合軍の分断を図ろうとした。

12月18日のオバマ大統領のスピーチの二つの部分を注意してお読みください。ここに原因を推測するひとつがあると思います。

So I want this plenary session to understand, America is going to continue on this course of
action to mitigate our emissions and to move towards a clean energy economy, no matter
what happens here in Copenhagen.

Second, we must have a mechanism to review whether we are keeping our commitments, andexchange this information in a transparent manner. These measures need not be intrusive, orinfringe upon sovereignty. They must, however, ensure that an accord is credible, and that we're living up to our obligations. Without such accountability, any agreement would be emptywords on a page.

ビデオでスピーチ聴いていたのですが、no matter what happens here in Copenhagenにはドキっとしました。戦闘モードです。あからさまな中国に向けての発言と取りました。
そして、need not be intrusive, or infringe upon sovereigntyです。
本当に透明性のある検証制度でそれが守られるなら衛星など使わなくてもいい、と聞こえませんか?

衛星軌道の権利がどこにあるのか知りませんが、どこの国だって自分の国のはるか上方から勝手に衛星でデーターを収集されたら侵略だ、統治権の侵害と言いたくなるかもしれません。
この読み方が合っているかどうか分かりません。予測シナリオ(この場合NASAの衛星技術使う可能性の予測)がなければ、一般論として聞き逃すかもしれません。

さらに、冒頭述べたオバマ大統領の二つのコメント、大気汚染法と衛星モニターに関するものです。
ここに、米中共同声明が加わると、時間的な流れから自然に前述の3つの推測が生まれます。

競合の戦略分析をするときには、この”自然”ということが大事です。戦略には必ずストーリーがあります。良いストーリーは自然に流れるものです。自然に流れないストーリーには無理があります。つまり、不自然なストーリーから作られた戦略はとんちんかんなものである可能性が大ということです。
訓練さえ積めば、相手の戦略は読み取れます。自信を持ってください。そして、優れた戦略であればあるほど読みやすいのです。
相手の戦略が読み取れない場合があります。疑ってください。戦略と呼ぶべきものがないのではないか、あるいは非常に不自然(非合理的)なストーリーを基にした何か(相手は戦略と勝手に思っているもの)しかないのではないかと。ないものを読もうとしても読めませんし、非合理的な戦略など怖くもありません。

気候変動問題は経済戦争。これが、コペンハーゲンで誰の目にもはっきりしました。
残念ながら、炭酸ガス排出削減の前に自国の経済の問題が優先しています。地球の将来を真面目に心配する人々が糾弾しているのはそこですが、そう捉えるだけではナイーブ過ぎます。(参考ブログ
さらに混乱させているのが、経済は自国で完結する問題でないということです。
資源の確保や競争国の市場も視野に入れたものにならざるを得ません。アメリカも中国も片方で協調姿勢を示しながら、互いに疑心暗鬼で虎視眈々と相手の弱体化を狙っています。これが、現実ということなのでしょう。アメリカと中国の正に覇権を賭けた闘いの場になってしまいました。
EUや日本が振り回されるのも当然かもしれません。

アメリカの戦略に弱点はないのか?
アメリカの戦略が、アメリカ環境庁(US EPA)の大気汚染法とNASAの衛星モニター技術にある(予測)ことは明確になったと思います。この二つはセットです。モニターできても危険かどうかの基準値がなければ役に立ちません。アメリカ環境庁が自動車の排ガス基準を設定し、火力発電所の排出基準を作っているのはそのためです。繰り返しますが、これはアメリカの国内法です。しかし、大気に国境はありません。国際条約や他国の規制にはまったく縛られることなく自国民の健康危害、環境危害を基にして他国にはたらきかけることができます。力を持つ国でなければできない戦略とは思いますが・・・。

ただ、私にはどうしても引っかかる問題があります。ダイオキシンと炭酸ガスを比較した以前の検討をご覧ください。やや弱いとした炭酸ガスの毒性です。このような戦略に使うには弱すぎます。これは、EPA長官、Lisa Jackson さんは誰よりも自覚していると思います。"endangering finding" とは言っていますが、過去に知られた毒性データが基本で新しさはありません。確かに最高裁の判決に基づくEPAの規制ですから法的には強いのですが、果たしてこれで上院を突破できるかどうか疑問はあります。私は、何か新しい試験、例えば高い濃度の炭酸ガス雰囲気中で10世代にわたる次世代試験でもやっているのではないかという考えを捨てることができません。
呼吸器系に関与する遺伝子変化を見るというようなことがなされているのではないか?まったくの憶測です。分かりません。しかし、何か隠しだまがある、私が彼女の立場ならそういう試みをします。3世代の次世代試験というのは医薬品などで普通に行われるもので、炭酸ガスについてそれもあるかどうか知りません。探した限りでは見つけられませんでした。3世代試験では多分変化などないでしょう。ただ、10世代ということは300年ぐらいのスパンですから遺伝子変化が起こっても不思議ではありません。ラットを使えば、4−5年でできる試験のはずです。

実は、この辺りを探るつもりで、ニューヨークタイムズに投稿しました。前回もリンクしましたので読まれた方がいるかもしれません。もともと、例のホッケースティックの温度上昇に関連したハッカー事件に関する(怪しい)投稿があったので、こちらから逆に探りを入れる目的でした。その中に、「誰かどこかで10世代の次世代試験をしているところがあるのではないか?」と書いてみたのです。
Response to jksisco #72をお読みください。

当人からの追加投稿はありませんでしたが、Craig Goodrichという方から親切なコメントバックがありました。「40,000ppm(4%)ぐらいにならなければ吸っても害はない(彼は、exhalationという単語を使っていますが、inhalationが正しい言葉です。)。現在の100倍の安全度があるので心配するな。」と。

こういう吸気毒性を急性毒性と言いますが、こんなことを探っているわけではないのです。40,000ppmの中で10世代にわたる次世代試験をやったら、呼吸系、あるいは代謝系に関係する遺伝子に変化がないか?ということなのです。そこで変化があれば、EPAの圧勝になります。たった100の安全係数しかない。科学的には100という安全係数は危険とも言える閾値です。
今世紀末に濃度が1000ppmになる予測もありますが、そうなれば安全係数はたった40です。こんな試験結果が出れば、否が応でも世界は低炭素社会に移行しなければならない。技術のある国の経済が生き残る図式になります。
そして、将来の子供たちに低濃度炭酸ガスの大気を遺産として残すことができる。
失礼は承知でしたが、面倒なのでGoodrichさん宛ての投稿は止めました。

Naomi Kleinさんの批判
大方の批判とは異なり、Naomiさんの批判は、ご自分が期待した経済復興戦略とかけ離れた戦略(政策)をオバマ大統領が採ったことに対する怒りのようです。
公共交通やスマート・グリッド(ハイテクIT電力網)で雇用を増やし、経済を立て直すというシナリオを思い描いていたのでしょう。
ただ、リーマンブラーザーズ破綻からの金融危機とG.M.倒産という問題の真っ只中で、Naomiさんの想いが現実的だったかどうかという問題です。

数あるコペンハーゲンのオバマ批判の中で、戦略面から捉えたものはこれ以外のものには出会いませんでした。また、これほど強い調子のものもありません。
客観性はともかく、ご本人にアメリカ経済復興と地球の将来を確かなものにするためにはこれしかないという戦略的発想があるので、ここまで書けるという例と思います。

自らシナリオ・戦略を考えて物事を見ることの大事さを改めて教えてくれた批判です。


予測シナリオとの関係は以上です。
ところで、日本のコペンハーゲンに向かった戦略はどういうものだったのでしょうか?

私は、コペンハーゲンの終了直前からある狙いを持って、基本的に同じことをいくつかの記事に投稿しました。アメリカと中国の経済戦争が激しさを増す中で、日本政府が今後採るべき戦略に何かの役に立たないだろうかという願いからです。
年が明けてから、この狙いについて述べたいと思いますので一緒に検討して下さるようお願い申し上げます。

不備の多いこのサイトにも関わらず、訓練された皆さまに心から感謝します。
新年を迎えるにあたり、皆さまのご多幸をお祈りいたします。

投稿事例:
Climate Change Conversations

Views on China’s Role in the Greenhouse

The Obamas Begin Vacation in Hawaii

(2009.12.27)